マインドセット

過去を美化しすぎて今を受け入れられない時の考え方。後悔を前向きに転換させる方法は

会社をクビになったヘレンは最悪の気分でメトロに乗ろうとした所、寸前でドアが閉まってしまった。もしこの電車に乗れていたら・・・?

グウィネス・パルトロウ主演映画「スライディング・ドア」は、こんな2つの「IF」を平行させたストーリーで話題を呼びました。

人生における「IF」。「もしもあの時・・・」という後悔は、生きていれば誰もが一度は頭を過ぎることではないでしょうか。

過去を美化し、「昔はよかった」「あの時こうしていたら」という後悔の念が無意味だと頭では分かっていても、嫉妬や絶望の感情に支配されてしまう気持ちはよく分かります。

今回はそんな「過去を美化し現在を受け入れられない」後悔の気持ちの原因、そしてそれを前向きに捉えるマインドセット方法をお伝えしていきます。

「あの頃はよかった・・」過去を美化し、嫉妬や絶望に陥る心理とは

仕事や恋愛、結婚や出産など、人生のターニングポイントにおいては常に「決断力」が求められる現代社会。

特に女性の場合、妊娠や出産などリミットのあるライフイベントもあることから仕事やパートナーとの関係性、友情や家族との関わりなどにストレスを受けやすい事も多くあります。

楽しかった10代20代の頃と違い、30代になってくると徐々に周りの環境が変わってくる。特に国家や企業の安定神話が崩れ働き方の多様性が進んだ現代では、気力体力だけでなく個人の精神力が一層問われてきます。

年を取ると共に仕事や家族、友情や恋愛・結婚などにおいても「あの時こうしていたら」「もっとこうしていれば」という「タラレバ」が生まれてくると思いますが、これはある程度仕方ないものです。

不安や不満は自身のフィルターを通した「比較」から生まれる

「隣の芝生は青く見える」とよく言ったものですが、現状に何かしらの不安や不満を抱えている場合は「それを解消したい」と思うものですよね。

ではなぜ「現状に不安や不満を抱えているか」というと、それは自身のフィルターを通した過去の記憶や他人と「比較」をしてしまうから、負の感情を抱くわけです。

人間が過去の記憶や思い出を思い出すときというのは、どうしてもその思い出を美化させてしまいます

これは生物学上仕方のない事で、身体機能を一定に保つ「恒常性機能」が発揮されてしまうことに起因しています。 

過去の思い出が美化されるメカニズム

人の記憶というのは時とともにどんどん蓄積されていくものなので、過去に遡るほど、その記憶は奥に潜ってしまいます。その潜在部分を引き出そうとすると、美しい部分ばかり思い出してしまうものです。

不快な記憶も楽しい記憶も同レベルで潜在しているものですが、人は「快感」を得たい生き物ですから、本能的に美しい記憶を都合よく思い出してしまうんです。

不快な記憶でも自分に都合良く解釈して美化させたり、美しい記憶ばかり思い出してさらに都合よく変容させて脳に蓄積されていく・・。

こうして「過去はよかった」「あの頃はよかった」「あの時こうしていれば今よりも・・」という堂々巡りのパターンが始まってしまうというわけですね。

男性よりも女性の方が後悔しやすい?

一部では、男性よりも「女性の方が過去を美化し、後悔をしやすい傾向にある」という情報もあります。

これには女性が男性よりも「感情」の生き物であり、記憶を感情とセットにすることが得意だからという説があります。

例えば旦那と喧嘩したときに「そう言えば2年前に付き合ってた時もこうだった!」と過去の記憶記憶もとっさに引っ張り出してくるのも一例ですね。

「感情」の女性と「論理」の男性

一方で、男性は「論理」「集中」の生き物です。

家事育児の様に「いろんな事を同時進行で臨機応変に行う」仕事が、男性よりも女性が得意なのは、こういった男女間の違いから見ると分かりやすいですよね。

もちろん性差だけでなく性格や環境、時代性にもよりますし、個人差もあります。あくまでも傾向の一つであり一概に「男だから、女だから」という一言で片付けられるものではありません。

しかし、女性の方が「感情を読み取るのが上手」「共感を求める性」である「感情の生き物」です。女性は感情と共に記憶を想起させ、過去に思いを馳せる事が多い、というのは一つの傾向と見ていいでしょう。

「拒絶」を恐れる女性と「挫折」を恐れる男性の「記憶」

では男性はというと、「より関心のあるもの」と記憶を結びつける傾向があると言われています。

よく言われるのが「女性は『拒絶』を恐れ、男性は『挫折』を恐れる」という言葉ですね。

女性は「他人」からの拒否を恐れますが、男性は「自分自身」を否定せざるを得ない状況を恐れる傾向にある。

なので、男性は「自身が執着したこと」が記憶を想起させるポイントになるのでは、と思います。

例えば「あの時の試合で俺がシュートをきめていれば・・」とか「あの時のプレゼンで資料を確認していれば・・」といった感じですね。

もちろん、これもあくまで「傾向」における「見方」の一つとして捉えていただければと思います。

嫉妬や後悔など、負の感情が湧き出た時の対処法。過去と現在を上手受け入れる方法は

では実際に嫉妬や後悔などの負の感情が出てきた時の対処法をお伝えしていきます。

その記憶は本当に「美しい」のか

昔の記憶を美化して思い出している行為は、「意識が過去に向かっている」状態です。

快楽を感じる記憶ばかり思い出すことは、過去の嫌な気持ちと向かい合うことを潜在的に恐れている可能性もあります。過去の記憶ばかり想起させてしまう場合は、一度その記憶を深掘ってみてください。

「本当にいい事ばかりだったのか?」「本当に辛いことはなかったのか?」

こういった細部に目を向けてみると、見えなかった部分が見えてくると同時に、現在の自分の進歩も見えてくるはずです。

「実はあの時こうだったな」とか「そう言えばいつも自分はこうだからここを直してみようかな」とか、少しでも前向きに考えられる事が出来たら上出来です。

そこから少しずつ「あの時の決断があるから今がある」「あの時の決断が正しかったと思う今を生きる」と、一歩ずつ歩んでいけばいいと思います。 

過去の美化や後悔の念を否定しない

過去の後悔や現在の自分への嫌悪といった「負のエネルギー」というのは、概して「よくないもの」として捉えてしまいがちです。

ただ、そういった感情というのは「それだけ頑張って生きているという証拠」でもありますし、現在の自分を向上させていくチャンスでもあります。

なので、「こんな気持ちを抱いてしまう自分は何てネガティブな人間なんだ」と否定する必要はありません。

まずはいつも頑張って人生を生きている自分自身に「ありがとう」という気持ちを持って労ってあげてください。そして、落ち着いたタイミングで俯瞰的に自分を見直してみてください。

頑張って「とにかく行動ー!」とバリバリ走っているときには気づかなった視点で自分を見つめる事ができると思います。

今の自分に少しずつ意識を向ける為に休む事も必要

それでもモヤモヤした気持ちが拭えないときは、一度窓を開けてみてください。それで思いっきり空を見上げて伸びをして、あとは散歩するなり走るなり海にいくなり寝るなり、好きに過ごしていいと思います(笑)

というのも、ずーっとモヤモヤ考えている状態は、永遠には続かないんですよ。

人間の細胞は全部で約60兆個あり、そのうち約4000億個が毎日ものすごいスピードで死んでは生まれ変わっています

4000億個ってすごい事ですよ?(笑)工場のベルトコンベアーで考えてください。これだけの数が、絶対にミスることなく何十年も機能し続けてくれているんです。

私はこれだけでも「超・超・奇跡」だと思うんですよね。

なので、まずはその体に感謝しながら好きな様に呼吸して、歩いて、疲れたら眠る。自分の心というよりも、自分を形成している細胞を労ってあげる感覚で休息を取ってあげます。

そういった意識で少しずつ「現在」の自分自身に気持ちをシフトしていけばいいのでは、と思います。